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事業開発の歴史や展望

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一度も会わない、不動産屋さん。

AWANAI賃貸

法改正のタイミングに着目して生まれた、オンライン完結でお部屋を借りれる業界初の賃貸サービス

TYPE:自社サービス
TAGS:#創業 #M&A 

Summary

  • 宅建業法の改正「IT重説の解禁」に着目し、2018年10月にサービスリリース
  • リリース約1年でユーザー数約1万人を獲得
  • 2022年1月、M&Aにて事業売却

創業後初のtoC向け自社サービス。宅建業法の改正「IT重説の解禁」に着目して構想がスタート。

2017年10月、IT重説の解禁により、賃貸契約において非対面での重要事項説明が可能になった。新規サービスは”社会トレンドの変化に着目する”、”参入タイミングが大事”、という観点が自分の頭の中にあり、サービスの構想がはじまった。
結果、生まれたコンセプトは「一度も会わない、不動産屋さん」

ターゲットは内見不要なユーザーに特化。対面で行っていた契約書の締結を郵送で対応。また、重要事項説明は2017年10月解禁されたIT重説(ITを活用した重要事項説明)に特化し、オンラインシステムを用いた「非対面」で実施。平均4回の対面を0回にする仕組みだった。


市場に確かな手応えを感じ、構想から約1ヶ月半でのスピードリリース。

このサービスは実現するのか、ユーザーに受け入れられるのか、マーケット/ユーザーの調査を徹底的に行った。その結果、以下のようなことがわかった。

・法的観点で、オンライン完結で賃貸契約のマッチングが実現可能である
・賃貸契約のうち、8~10%の人は内見をせずに部屋を決めている

部屋探しの際に見学した物件数の調査

また、不動産賃貸事業は地域ビジネスの側面が強い。各賃貸仲介会社のIRを読むと、1店舗あたりの月間売上が500万円が一定の目安であり、地域をいくつ増やすか、が拡大の論点であることがわかった。それがオンライン完結なら店舗や地域に影響されなくなる。

広告宣伝費はよめなかったものの、各社アフィリエイトの単価や送客事業者の単価などを踏まえて、そこまで高騰しないと判断。

結果、事業開始を決定し、約1ヶ月半程度でWebサイト制作、CRMシステムとChatbotの開発、宅建業者免許の取得、オペレーションの構築を行った。
そして2018年10月、オンライン完結でお部屋を借りれる業界初の賃貸サービス「AWANAI賃貸」をリリースした。

Chatbot・CRMを独自開発

CACが安いからといって、事業が成り立つとは限らない。

リリース後、いくつかのポジティブな材料が見つかった。
・非対面の営業は求職ニーズがあり、リモート雇用が可能。長期的視点で見たときに従業員雇用難易度が低くスケールにおいて採用が課題になりにくい
・CAC(顧客獲得単価)を格安で実現するマーケティング・チャネルがある。CVR(サイト訪問者の問い合わせ率)が高く、想定の約5分の1の費用で獲得ができた。

結果、投資するべき事業と判断し、人も複数名採用し、業務委託で夜間も稼働し、1年間事業を継続。

しかし・・・
最初の繁忙期で約600万円の赤字を計上。周辺サービスをいくつか作り、試行錯誤するも最後までPMFの手応えを感じることができなかった。

周辺サービス:マッハ賃貸 / トリプルゼロ賃貸

失敗する中で、いくつかの学びがあった。
CACの安さは強みにはなるが、それで事業がうまくいくわけではない。当たり前ではあるが、マーケティングハックによって顧客獲得がうまくいっても、LTVが悪いと事業は成り立たない。
この事業は反響は多かった(最大月間約1,750名)が、契約率があまりにも悪かった。要因はいくつかあるが、結果的に収支が合う契約率に持っていけなかった。

もう1点、PMFするまでは社長がフルコミットして事業オーナーになるべき。現場を見ないとインサイトが掴めないし、仕組み化できない、そして打ち手を誤る。赤字を補填するために受託事業に奔走していたが、それもよくなかった。これは後に伸びた事業を振り返っても感じている。


縮小プランを経て事業売却(M&A)。現在もサービスは継続中。

その後スケールが難しいと判断し、2名体制に縮小。その結果、なんとか収支トントン〜少しの黒字で抑えられている状況に持っていくことができた。

とはいえ、伸びる気配もなかったのでサービスクローズを検討していた。ただ、せっかく投資して作ってきたサービスなので閉じるのも勿体ないなという思いから、M&Aに少し動いてみた。
結果、意外にも多くのオファー(交渉65件→商談10社→オファー6社)をいただくことができ、想定の約4倍ほどの金額で2020年1月に事業売却に至る。

携わってくれたアルバイトの方の移籍も決まり、ホッとしたのを覚えている。

あれから約4年半が経ったが、今でもサービスが運営され、最近も業界新聞に掲載されているのを見かけた。自社ではスケールできなかったサービスだが、誰かのお役に立っているのであれば、とても嬉しく思う。

INFO

サービス

AWANAI賃貸

公式サイト

https://awanai.com/

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